実物 九九式短小銃 下帯 初期型・中期型・末期型 KTW_九九式短小銃 2014年08月19日 いきなりですが、以下が写真になります 左 中期型 右 初期型 どちらとも名古屋工廠製で、初期型は再仕上げ(注) 下 末期型 奉天工廠製造 (注 便宜的に末期型としていますが、後期型の可能性もあります。) 全て実物です。 --------------- (注釈) 初期型(上の写真、右)はどうやら再仕上げのようです。 ---------------- ◯ 構造について 実は下帯の種類は、およそ12種類ものバリエーションがあります。 ですから、写真にある実物が正解であるというわけではありませんその点をご留意ください それを念頭に置いた上での比較です。 ◯1 木被が省略されたため、末期型のみ内径が異なる ◯2 初期型と中期型の違いは単脚取付部の有無のみ ◯3 ネジは全ての部品において共通 ←機体用ネジ等も長さは違えど規格は同じです。 ◯4 下帯は本体・ネジ頭覆部・負革止部・(単脚取付部)と3(4)部品から成り立つ ピン止めと溶接にて本体に固定されている 画像を見れば、別部品であり、ピン止めの後に溶接されているという状況がお分かりいただけるかと思います ◯5 末期型のみ取り付け部のピンが大型化 ピン径が倍ほどになっています。 断定はできませんが、末期型は本体とピンの間にスキマが有ることから規格低下に対応したものと思います。 以下は手元にない実物ではありますが、違いを紹介しておきます ◯6 負革止(スリングスイベル)はナス型の輪が上に広がるもの、下に広がるもの、普通のリングの形状をしているもの と3種類に分けられる ①は中期型に近い物に多いです。 ②は小倉工廠の初期型の一部ロットに存在するようです。 ③は最も一般的に見られる形式です。 ◯7 上面にスリットが設けられている部品とそうでない部品がある →強度確保のためと思われる 実際にスリットのある前期・中期型には歪みはないが、末期型は形状が歪んでいる ◯8 中期型以後は単脚基部が省略されます。 下帯の本体下部は溶接で接合されていますが、 下面を平滑に仕上げたものと、凸凹をそのままにしたものと二種類あります。 これは安全子も同じようなので、時期によるのでしょう。 初期型と中期型を並べてみました 初期型は再仕上げなので全てを信用することはできませんが、ほとんど同じだということが判ります。 また中期型は負革留の形状から第6ロットのものだと推定されます。(1943年-44年製造) 末期型の場合、それぞれの工場で独自に改良をしていたようですので 大量のバリエーションが存在します。 ◯単脚の有無について 単脚が省略され、下帯に単脚取付部が残ったまま生産された銃は実際の所少なかったのではないかと思っています。 理由として ・単脚は戦後外された場合も多いと見える(使えない上に銃を持ちづらい) ・前述したように単脚取付部は別部品であるから、単脚を取り付けない場合、そもそも部品として存在する理由がない。 逆に、一体成型であれば金型の変更が必要なので基部がついたままの生産もあり得たかもしれないとは思う。 ・アメリカのフォーラムを見る限り、単脚が残っていない九九式であっても、上帯とストックに単脚と擦れた時に出来たであろう傷が残っている 以上が挙げられます。 例外はあるでしょうが、単脚取付部を残したままダラダラと生産されていたというのは考えられません 取付部が本体と別部品であるというのが一番の根拠です。