九九式短小銃 実物 上帯(銃剣止) 比較 (フロントバンド・バヨネットラグ) 日本軍装備:装備 2014年05月17日 KTW製は多くの部品がプラスチック製で質感に欠けています。 そこで、ヤフオクで部品を集めることにしてみました。 左から順にKTW製、中期型、初期型です。 個人的見解で申し訳ないのですが ネジの本数で初期型、中期型を区別しています。 それぞれ3本、2本と異なります。 (末期になるとネジ1本といったタイプも見られます) 見て解ると思うのですが、何故かKTWのには変な突起があります。 →突起の部分にもネジ山が彫られていることからネジ山自体の強度確保の為に見えます。ネジピッチを変えるための長さ確保なのかそれとも樹脂という素材の強度に起因するものなのかはわかりませんが どちらにしても内容は同じです。 またその出っ張りを裏側に作らずに表側に作ったのは成形上の理由でしょう。 実物の上帯は写真に入っていない物も含めて3コもっていますが、全て右側のほうが錆の進行が進んでいました。 ボルトハンドルが邪魔になるので、右側を上に保管していて、ホコリや汚れが溜まった結果のように思われます。 その為私はヤフオクの商品を落札する際はこの部品に限ったことではなく、右側の状態を確認するようしています。 写真が左側のみの場合は要注意です。 中期型の方は錆だらけでしたのでサビ落としの後にブルーイングをしました。 古い液を使ったので失敗してしまい、少し見た目が変わっています。 ここでまた余談なのですが、初期型と中期型のものでは黒染めの仕上げが異なります。 初期型は皮膜が薄く、尚且つ若干青みがかった綺麗な黒染めなのに対して、 中期型以降は皮膜が厚く真っ黒なものとなります。 当然、中期型以後の仕上げのほうが耐久性は上の筈ですが、現存品を見るに初期型の方が程度の良い物が多いです。 鉄の材質の違いなども考えられますが、磨き上げの有無が一番大きいのだと思います。 「徹底的な磨き込みによる変色があります」は完全な嘘です。 ただ錆ているだけのはなしで、磨き込み=変色はありえません。 上からみて 下から見た場合です。 当然ですがそれぞれシリアルナンバーが違います。 ナンバーは水平に打ってありますが、垂直に入れたものも見たことがあります。 工場による違いでしょうか また下側のカドは手作業で削ったようで、曲線の出方に個体差があります。 初期型と中期型のキャップです。 この部分は九九式が規格統一された銃であったとはいえ 依然としてすり合わせ工程があったようです。 初期型どうしであっても別の上帯にはハマりませんでした。 さて、KTW製のものは初期型を複製して作られているので省きまして ここからは初期型と中期型の違いについて説明していきたいと思います。 上が初期型、下が中期型です。 初期型→ネジ3本&ロングタイプ・さく杖/四角型のさく杖止めに噛ませる方式 中期型→ネジ2本&ショートタイプ・さく杖/丸型のさく杖止にねじ込む方式になります ちなみに後期型にはネジ1本タイプというのもあります。 ショートタイプの場合はそのままで清掃に使用することは出来ないので、分隊毎に配られる清掃具と組み立てて使用するというのが私の見解です。 ただ、ネットには完全に叉銃を組むためのものという意見もありました。 実物にはさく杖が完全に省略された型式もあるようで、全てを引っ括めて言うにはちょっとむずかしい話のように思えます。 というか私にはわからないことだらけです。 ネジ本数の意味について単脚の有無の観点から話しますと、 初期型のネジ3本タイプはネジ頭が単脚のストッパーの役割をするのに対して 中期型のネジ2本タイプではネジ先が単脚を傷つけるようになっています。 この事に間違いは無いでしょうから、ネジ本数(上帯の形状)は単脚と槊杖という2つの要因によって変わってくるということのようです。 追記:ついでにさく杖についても記述しておきます。 さく杖とは英語でいうところのクリーニングロッドです。 これが九九式の場合上帯とつながっていて強度を持たされています。 さく杖止の構造は合理的です。 銃床に上帯を固定するという役割の一方、槊杖を開放するときに加わる力を上帯に受け流すようになっています。他国の銃の場合はちょっとわかりませんが、三八式の場合はかなり大掛かりな仕掛けになっているのと比べると 九九式においては実に合理的に進化したと言えます。 三八式の槊杖止は、板バネで槊杖を押さえつけるようになっているようです。 バネに信頼性がなかったのでしょうか、弾倉底板止と同じように三八式の時代ではコイルバネの使用は避けられていたようです。 余談ですが、三八式のさく杖受けを見た時に「俺だったらこうするのになぁ・・・」 と思った形状が九九式には採用されていました。 つまり80年前の技術者と考えが一致したってことです...(?) 実物は60センチの槊杖の一部分にある凹みに噛みこんで固定しているのですが、KTWのさく杖止は形だけの再現であって、槊杖も10センチ程度です。 省略しても見た目には変わりませんからね。 →実物記事 こちら中期型です。 KTWの銃床に入るには入るのですが大きさが違います。 木被のサイズ変化に合わせたものだと思いますが、木被のサイズが変わった理由については不明です。 初期型は綺麗に収まります。KTWのストックは外注らしいのですが本当に良く出来ています。 このように比較すればわかりやすいのですが、このように初期型と中期型では、 表面仕上げが丸っきり違います。 初期型はグラインダで鋳物肌を綺麗に磨き上げてあるのがわかります。 (この初期型部品に限った話ではなく、他の部品にも言える話です。 超丁寧に仕上げられていて、およそ巷で言われている日本軍兵器のイメージとは全く異なります。) 初期型の上帯です。 ネジ穴付近のヘコミはネジの緩み止ポンチです。 中期型以後は省略されているようです。 また、双方着剣した跡が残っています。 実際に誰かをぶっ刺したとかでは無いと思いますが・・・ しかし無可動銃に於いても菊花紋章が残っているものも多く(つまり正規ルートではなく日本兵から奪い取ったもの) 使用した可能性or持ち主は・・・という可能性・・・ ガクガクブルブル・・・ それで着剣できるかという話ですが、 ウィンドラスやKTW製の銃剣には残念ながら着剣できません。 (物理的に入らない) 敢えて寸法を変えているのではないでしょうか。