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さんま備忘録

you大

実物 三八式歩兵銃 初期/九九式短小銃 初期&後期型 安全子 セーフティー

前置きとして

九九式は時代ごとに
極初期 初期 前期 中期 後期 末期
の区別をしています

ちなみに安全子の場合の初期は前期とは
・黒染め仕上げが淡いブルーであること
・チェッカリング中央の凹みに検印があること
以上がことなりますので今回の部品は初期型としています。

前期型(~1943)は黒色の仕上げで尚且つ中途検印は表面にありません。

尚三八式歩兵銃の場合は正直いってよくわからないのですが、白磨きのタイプのほうが登場が早いとして初期としています。 もしかすれば前期かもしれません。 
また、三八式歩兵銃のセーフティーの呼称は正確には
打針留と言います。 便宜上九九式に合わせた呼称を用いています。



記事にするネタをタイトルに全部詰め込んだところやたら長くなってしまいましたが
とりあえず安全子についての記事です。





後期型は棒が歪んでいるので自立しません。 手元にあったiPhoneで支えています。

この安全子一つとっても三八式から九九式にかけてで
知る限り8通りあり、また三八式の場合は一部白磨きであるタイプ、九九式でも黒染めの色合いの違いや内部の刻印の打刻位置の違い等もあるのでかなりのバリエーションがあります。
 他の部品よりもバリエーションが多いのは手間のかかり具合によるものでしょうか。
よく分かりませんが興味はあります。



並べるとこうなります。
位置がずれていて分かりづらいですが三八式と九九式では棒の長さ、溝の幅や位置、前面の曲線具合といったところが異なります。
 ここの細かい違いは当然円筒の形状の違いによるものだとは思いますが
弾を7.7mm化することによる変更でしょうか。
それとも合理化によるものなのでしょうか。
円筒と比較した上で考えてみたいところでは有るのですが、円筒(ボルト)は法律的にアレなので入手するに能わず悩みは増すばかりです。






チェッカリングの違いです。
これは九九式だけにしても製造所により異なりますので、三八式と九九式を分ける上ではあまり参考には出来ないと思います。
 ただ、中央の凹みが三八式では若干深いという事は作りの丁寧さを示すと思います



←三八式 →九九式初期


内部まで削り込まれている三八式は流石に芸術性も認められているだけあります。
九九式の方は初期型ですし、ある程度の処理はありますが三八式には及びません。




 
順に 三八式、九九式初期、九九式後期

三八式の曲線美もさりとて、後期のガタついたところにもそそられる物があります。
はめ方が歪んでいて構成がずれています。また安全子として作動する部分もチャンとした角が出ずに曲線になってしまっています。
操作性が悪くなったと推測されますが(円筒が無いから操作感を確かめようがない)やはり生産性優先によるものでしょうか。








三八式セーフティーの上部と下部のアップです。
ピンが打ち込まれているというのがわかると思います。
つまりチェッカリング部と棒部分の接合は溶接ではなくピン止めということです。

使い回しですが三八式の裏面です。
部品間の溝が何の跡なのかは不明です。
ピン止めだけであればこのような溝は出来ないはずですがよくわかりません



こちら九九式の後期型です。
末期型の溶接痕がそのまま残っているタイプのものが一番説明に適しているのかとは思いますが
すみません とりあえずこの部品に於いては九九式は溶接だということでお願いします。

ところで日本の溶接の歴史といいますか、軍隊に関わった溶接の話としては
有名どころで言えば海軍の第四艦隊事件、震電のスポット溶接といったところでしょうか
 それぐらいしか知らず不勉強がになりますが・・・


九九式短小銃の初期型から溶接が使われているのはほぼ間違いない話ですが
溶接の採用時点が
・三八式歩兵銃の時点で溶接が実用化されていた
・九九式小銃になってから初めて溶接が使用された
・九九式短小銃の正式後
いずれなのかは現物を確かめたわけではないので断言は出来ません

確証なし


ただ、こちらのサイトを見る限りでは
溶接自体は日本海軍でも1930年台に実用化されているらしく、陸軍に於いても実用は大体同じ年代頃にはどうにかなっていたのではないでしょうか
ですから採用時点としては、三八式の後期型であっても不思議はありません。

 とは言え正直な話、九九式短小銃に溶接が使われているということ自体も日本語圏のネット上では殆ど話題になっていませんので情報が不足がちです。
その上、かの大御所も溶接は出来ないと言及されていることですし、ヤフオクの出品者の方にも九九式の槊杖(クリーニングロッド)はロウ付けであると主張される方も居られるわけです。
 角が立つのであまり大仰には言いたく有りませんが、九九式短小銃の部品に溶接されている箇所があるというのはある程度正しいことのように私自身は思います。


接合方法はちょっとお手上げです。
技術屋ではないのでわかりません
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