軍服の手入れについて ①夏軍衣、襦袢等の綿生地 雑記 2015年04月24日 70年以上前の服を手入れするに当って気付いた問題点を書いていきます。 といっても、全自動洗濯機が当たり前の世代にとっての問題点であってそれ以前の方には当然の話しかもしれません。 また基本的にこれから書く内容はコレクション等の用途についての話で当時の方法とは関係ありません。 当時のやり方については”被服手入法”に記載があります。 目次 0.劣化の原因、劣化度 1.手入れ法(現代品との相違点) 2.洗濯方法 3.アイロンがけ 0.劣化度や生地について 当然ながら70年前のものですから多かれ少なかれ経年劣化が有るものと見て良いかと思います。 その原因は多々ありますが、ある物質(要素)が生地に対して劣化の影響を及ぼす事が根本的な原因です。 こういう範囲のことを詳しく勉強したわけではないので間違っているかもしれませんが、 劣化の原因は カビ、ホコリ、湿気、汚れ、紫外線、虫害、生地擦れ 等があると思います 劣化度は生地の擦れと日焼けやホコリの溜まり具合、汚れにて判断します (個人的な観点なので色々違う見方もあるでしょうが一応はこの方法でうまくいくと思います。) まず生地の擦れですが、使用していく内に綿がハゲて薄くなって来ますので、擦れを確認して生地の強度低下を確認します。 より布がペラペラになっていて色落ちが進んでいるものが劣化が進んでいると言えます。 また日焼けやホコリの溜まり具合と言うのはこれは部分的に起こる場合もあります。 劣化が進んでいる目安はニオイです。ダニなんかのニオイを感じるようであれば劣化があると言えます。 見た目的には綺麗でもダメージが進んでいる場合もあるので注意が必要です。 特にそういった物は縫い目やポケットの中にホコリが溜まっているのでちょっとした拍子に裂けたりします。 汚れは見た目が悪いのは当然ながら生地を著しく劣化させます。 表面に付着しているのみの物はまだ良いのですが、裏面にまで染み込んでいるもの、特に錆汚れは著しい劣化を生じさせます。 1.手入れ法について(実用する場合) 完全な未使用であっても現代の製品と同じように扱ってはいけないです。 当時は染色技術が、染色に於いて現代のものより数段劣っています。 ですので問題に ・軽く生地を擦るだけでも色落ちする。←特に水分を含んだ時の摩擦は厳禁 爪擦れで色落ちする ・汚れが落ちづらい ・熱や摩擦に反応してテカテカになる ・紫外線ですぐ変色する(緑色の場合は顕著) という点があります これらついて特に注意していないとゲームやら着装やらですぐにボロくさせてしまうので 気をつける必要があります。 それらの対策を含めた、洗濯のポイントとしては ・洗濯は浸け置き又はネットに入れて洗濯機のドライモード ・洗濯のりを使用する(注 柔軟剤併用について ・伏せた時にヨゴレそうな場所に予め防水スプレーを噴く ・内側に襦袢を着る (汗や垢汚れ付着防止、肌と擦れて劣化することを防ぐため) ・襟布を縫い付ける (同上) ・アイロンの設定はスチームの中ぐらいであて布をして柔らかく ・汗をかいた後はできるだけ早く洗濯する(汗の成分は紫外線と反応して黄ばみになる。 ) ・干す時は直射日光の当たらない場所で裏返しにして干す (注 柔軟剤を併用すれば着心地は良くなり、擦れることも減りますが体裁が悪くなる気がします。 一度夏衣でやったのですが、結果襦袢のようにクタクタになったので個人的にはやっていません。→再度洗濯して糊付けすればある程度は戻る 洗濯のりのオススメはカンターチです。) 等をすることが個人的にはお勧めです 長々と書きましたが、とにかく命数を伸ばすのであれば無理に使用しないようにするのが大事ですし、サバゲ用に装外のボロ服を買ったとしてもこれらに気を使うだけで寿命がかなり伸びるかと思いますので面倒がらずにやったほうが良いと思います。 追記:実用における問題点に関するページを作りました 1.手入れ法について(保管する場合) ブラシをかけてホコリを払う 紫外線を避ける ダンボールやビニールに入れての保管は極力避ける 畳んで保管する 高湿度高温を避ける よく換気する 2.洗濯方法 既に書いてしまいましたが ・浸け置き又はネットに入れて洗濯機のドライモード で選択します。 水に濡れた時は軽く揉むだけで色落ちするので浸け置きが一番です。 皺になるので脱水は控えめ、紫外線による変色・劣化があるので本体を裏返しにしてから陰干しする 3.アイロンがけ これもすでに書いてしまいましたが ・アイロンの設定はスチームの中かドライの低 にします。 熱に反応してテカテカになるので気持ちアイロンを浮かせてください。 スチームを当てるだけという感じで十分、というかそれ以上は出来ません。 圧力でテカるのではなく、熱でテカるのであて布は無意味です。 熱だけでテカるのは確認済みでしたが、どうも摩擦によっても生地が寝てしまい光沢が出てくるようです 試しに未使用品を爪でこすってみたのですが(目立たない部分でやりました) わりと強めに擦ると光り出してきました アイロンがけの時には生地を折り返している場所などの出張った部分に注意が必要です。 そういった場所は凹凸があるので圧力が不均一にかかりますのですぐに光ってしまいます スチームや霧吹きをした後に手で張るぐらいにとどめておいたほうが良い気がします テカテカになったら元に戻りません。