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さんま備忘録

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日本軍の小銃のガンブルーと再仕上げについて

今回も眠たいまま書いているのでその内書きなおすことにします


これら部品は再仕上げです。
写真だとごまかせる場合もありますが、実物を見るとそうは行きません
非常に難しいのです。
コールドブルーだと、薄っぺらい色味になってしまうようです。
実物は深みのあるブルーです。
   

この再仕上げの部品と下の初期型オリジナルを比較してみてください

 

そうです、こんな色表現できるわけ無いじゃないですか
黒色を出せっていうだけならまだしも、こんな色僕にはムリです

本当に難しい・・・ ブルー液は3種類ぐらい試してみましたがどれもダメでした。
何か良いものは無いのか・・・

悩みの種は尽きません

実物 九九式短小銃 下帯 初期型・中期型・末期型

いきなりですが、以下が写真になります


左 中期型 右 初期型 
どちらとも名古屋工廠製で、初期型は再仕上げ(注)
 

下 末期型 奉天工廠製造

(注 便宜的に末期型としていますが、後期型の可能性もあります。)

全て実物です。


---------------
(注釈)

初期型(上の写真、右)はどうやら再仕上げのようです。 
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◯ 構造について

実は下帯の種類は、およそ12種類ものバリエーションがあります。
ですから、写真にある実物が正解であるというわけではありませんその点をご留意ください


それを念頭に置いた上での比較です。

◯1 木被が省略されたため、末期型のみ内径が異なる
◯2 初期型と中期型の違いは単脚取付部の有無のみ
◯3 ネジは全ての部品において共通 ←機体用ネジ等も長さは違えど規格は同じです。
◯4 下帯は本体・ネジ頭覆部・負革止部・(単脚取付部)と3(4)部品から成り立つ 
ピン止めと溶接にて本体に固定されている

 

画像を見れば、別部品であり、ピン止めの後に溶接されているという状況がお分かりいただけるかと思います

◯5 末期型のみ取り付け部のピンが大型化




ピン径が倍ほどになっています。
断定はできませんが、末期型は本体とピンの間にスキマが有ることから規格低下に対応したものと思います。

以下は手元にない実物ではありますが、違いを紹介しておきます

◯6 負革止(スリングスイベル)はナス型の輪が上に広がるもの、下に広がるもの、普通のリングの形状をしているもの と3種類に分けられる 

①は中期型に近い物に多いです。 ②は小倉工廠の初期型の一部ロットに存在するようです。
③は最も一般的に見られる形式です。


◯7 上面にスリットが設けられている部品とそうでない部品がある
 →強度確保のためと思われる 実際にスリットのある前期・中期型には歪みはないが、末期型は形状が歪んでいる

◯8 中期型以後は単脚基部が省略されます。 下帯の本体下部は溶接で接合されていますが、
下面を平滑に仕上げたものと、凸凹をそのままにしたものと二種類あります。
これは安全子も同じようなので、時期によるのでしょう。




初期型と中期型を並べてみました
初期型は再仕上げなので全てを信用することはできませんが、ほとんど同じだということが判ります。 また中期型は負革留の形状から第6ロットのものだと推定されます。(1943年-44年製造)




末期型の場合、それぞれの工場で独自に改良をしていたようですので
大量のバリエーションが存在します。 




◯単脚の有無について

単脚が省略され、下帯に単脚取付部が残ったまま生産された銃は実際の所少なかったのではないかと思っています。

理由として
・単脚は戦後外された場合も多いと見える(使えない上に銃を持ちづらい)

・前述したように単脚取付部は別部品であるから、単脚を取り付けない場合、そもそも部品として存在する理由がない。 逆に、一体成型であれば金型の変更が必要なので基部がついたままの生産もあり得たかもしれないとは思う。

・アメリカのフォーラムを見る限り、単脚が残っていない九九式であっても、上帯とストックに単脚と擦れた時に出来たであろう傷が残っている 

以上が挙げられます。 例外はあるでしょうが、単脚取付部を残したままダラダラと生産されていたというのは考えられません 
取付部が本体と別部品であるというのが一番の根拠です。



実物 九九式短小銃 小倉第二工廠 遊底覆 (ダストカバー)

今回はダストカバーです。
遊底止と同時に記事を書いています。



◯構造について



上実物、下KTW製

後に詳しく書きますが、この仕上げはオリジナルのようです。


このダストカバーのチャキーンというけたたましい音は、実はダストカバーにガタツキがあるからです。
しっかりフィットするように折り曲げてみればそのようなノイズは出ないと思います。
KTW製はガバガバなのでその点少し手を加えてみても良いかもしれません
(youtubeで聞く限り実物にはノイズが殆ど無いみたいです。) 

尚この実物はKTW製のレシーバに全く噛み合わず、ガバガバとかキツキツとか以前の問題でした。

このことからダストカバーのレール溝は部品同士の擦り合わせで彫ったと思われます。
ですから、部品ごとに別個に生産してそのまま組み立てただけというわけでは無いみたいです。


尚、レシーバーに無理やり装着しようして傷つけた部位、数知れず
悲惨です



穴の形状もしっかりのこっています




ツメの無いタイプになります。
九九式であっても、極初期型は遊底を出来るだけ隠すための配慮で溶接のツメがついています
(三八式はリベット留めのようです)

このダストカバーの生産時期は不明ですが、ツメ無しタイプの遊底覆が装着された初期型もあったみたいです。

実は、初期型といえども対空照尺と単脚が装備された物は1943年まで生産されていました。
中期型は43年-44年の中頃までで、生産数全体から言えば中期型が一番少ないものとなります。
また末期型は44年-45年までの生産となるものの、粗製乱造と工場数が増えたことにより生産数が一番多くなっています。
末期になると、未処理のものを部隊に送りつけ金物ヤスリで加工させたとも言いますので目茶苦茶やっていたのは想像に固く有りません。






三八式用と九九式用で長さが違うというのはもはやご存知かと思いますが、実は九九式ようにおいても、違う長さの物もあるようです。

後期には短くなったということでしょうか

また、末期になると生産向上のため、また南方が主戦場になったこともあり
ダストカバーを取り付けるレールすら廃止されたものもあります。






そしてこれは末端部の折り返しになります。
左実物、右KTW

実物の折り返し部はツライチに加工されていたのですが、バイスで締め付ける内に割れてしまいました。
残念でなりません。



レール部のこの通り 全くもって丁寧な仕上げです。
見た目は単純ですが、細いところに手が入っています。

この部分もハンマーで殴ったりしていますので、ボコボコになっている部分があります。
実に残念でなりません



刻印はこのように打たれています。


それでKTW製と実物の比較ですが、根本的なところでは厚みが違うようです
実物は1mm KTW製は0.3mm です。 

たまに実銃用複製品とかいうのがヤフオクで出品されていますがあれはどうなっているんでしょうか
気になるところではあります



◯仕上げについて



下が再仕上げ、上がオリジナル







両面ともに実物オリジナルのブルーイング仕上げです。 


ブルーの色合いは、生産時期だけでなく、工場によっても異なります。
(初期型のみ  中後期になると何処の製造所も真っ黒染です。)
上の用心金も遊底覆と同じ小倉工廠製です。
小倉工廠製は鳥居松の藍色や東洋工業の黒色のような色合いと比べて水色っぽい色合いです。

このようになるのは、恐らく表面処理、ブルーイングの工程にかける時間と濃度の関係だとは思いますが、詳しいことは不明です。

実物 九九式短小銃 初期型・中後期型 用 遊底止 (蹴子)ボルトストップ





タイトルにもありますように、遊底止(ボルトストップ)です。

遊底止とは、遊底(ボルト)が飛び出さないようにする部品ですが

三八式歩兵銃のようなボルトアクションライフルを思い浮かべてください
あれのボルトハンドルをチャキーンと引くわけですが、こういった部品がなければコッキング時にすっぱ抜けてしまうわけです。
細いことはともかくとして、そういった見解で多分合ってるような気がします。




上の中後期型と思しき部品は再仕上げしてあります。
これも別の記事で書くつもりですが、この色合を出すのに相当難儀しました。
中後期型はともかくとして、
初期型のブルーを再現するのは個人ではもはや不可能だと思われます




これが再仕上げ前の御姿になります。
錆がかっていたのでリフレッシュ(毀損とも言う)です。
こういうこともあるので”実物”という区別では価値は判別できません
”実物オリジナル仕上げ” こいつが完璧です



この通り仕上げが完全に異なります。


左中後期型、右が前期型 です

長さとネジ山の形が異なります


 

左右とも上に同じです。
遊底止の部品の一部になります 初期型はグラインダ、中後期型は普通の金物ヤスリを使っているようです。



部品に関しての紹介は以上です。
構造についての紹介に移ります


正面からは線が入っているように見えるだけですが、
中央部のものはアリ溝にて固定されているもので、板バネになります。

 

そして出っ張りの部分に遊底止板? を差し込みます。


板バネを押さえつけた状態




KTW製のダミーボルトストップも加えてみました(中央)
型取り品ですから、表面もよく似ています。 この状態だと見分けがつきません

比べてみてわかったのですが、この実物部品は角が多いせいか個体差が大きいようです。





検印もこの通り











実物 九九式短小銃 用心金(トリガーガード) 比較

この項目ちょっと飽きてきました。
違いを探しても大した意味がないからですが・・・






(上)KTW製、(中)小倉第二工廠製初期型、(下)鳥居松製造所初期型
です。 中期型以降の物を間違って入手しないように頑張りました。(?)
いやむしろ中期型のほうが珍しいんですけどね・・・

他の部品は見ていて楽しいぐらいにブルーイングが残っているのですが、用心金は初期型の部品を合計で3つ落札したのですが及第点を与えられる状況の品が一つも有りませんでした。
どれも全て下側が錆びきっています。 KTWの金属化において重要な部品の一つであることに間違いは無いのですが、ここまで劣化が激しいとなると残念でなりません。





比較することに意味があるかはわかりませんが、一応刻印の違いです。
名古屋工廠は中途検印(Mみたいな山形のもの)を別に用意していますが、小倉工廠や東洋工業は生産印と検印が同じものになっています。

加工の工程ごとに検定があったようですが、生産時期が下るにつれ検印の数が減っていきます。
徐々に検定数が省略されていったようです。



鳥居松と小倉第二工廠ではこの部分のネジ頭の形状が異なります。
互換性ねえのかよという感じですがネジピッチや規格は同じようで、共用出来ました。 




弾倉底板止の形状が微妙に異なっています。
特に滑り止めの切り方、加工法が異なっているというのも背景を考える上で興味深いです。


 

最後に鳥居松の弾倉底板とKTW製との比較です。
給弾機構のために埋め立てられています。 実物を取り付けるにあたってはこの部分の嵩上げが必要になってきますね。

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